相続登記が義務化されます

登記済権利証

 こんにちは、芦屋市・打出駅から徒歩3分のうちで法務事務所 代表司法書士の向井亜希子です。
今回は、相続登記の義務化について書いていきたいと思います。

令和6年4月、相続登記が義務化されます。

なぜ義務化するのでしょうか。
そもそも、相続登記とはなんのために必要で、しないとどうなるのでしょうか。

不動産登記ってなんのためにするの?

 不動産登記とは,国民の大切な財産である不動産(土地や建物)の一つ一つについて,どこにあって,どれくらいの広さがあって,どなたが持っているのかといった情報を,法務局の職員(登記官)が専門的な見地から正しいのかを判断した上でコンピュータに記録することをいいます。
 この登記をすることによって,不動産に関する情報が公示されることから,国民の権利の保全が図られ,また不動産登記の取引の安全のためにも役立っています。(法務局ホームページより引用)

 ざっくりいうと、不動産ひとつずつが国のシステムに記録されていて、権利(たとえば所有権)が移動したら、その履歴を記録として残すイメージです。

 あなたがAさんから土地を購入することになったとき、その土地は本当にAさんのものなのか、確認する必要があります。
Aさんが悪い人で、勝手に他人の土地を売ろうとしていて、代金を支払っても土地を手に入れることができなかったら困るからです。
このとき「この土地の所有者はAさんです」と登記してあれば、安心して買うことができます。

 少し難しい話になりますが、もし、真実の所有者がBさんであったとしても、Bさんは登記していない以上、あなたに対して、「それ本当は私の土地で、登記忘れてただけなので、あなたがAさんから買ったのは無効です!」ということはできません。(民法177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。) 

 登記という仕組みがあるおかげで、不動産取引を安心して行うことができるのです。

不動産登記ってしなきゃいけないの?

 さて、安全な不動産取引をするにおいて、とても大切な仕組みである登記ですが、実は登記をすることは義務ではありません。
※表題部登記は義務、という決まりがあるのですが、話がそれるので今回は割愛します。 

 

 あなたが土地を買ったとき、不動産登記したくなければしなくても、法律で罰せられることはありません。
ただし、登記しておかないと、売主以外の他人に対して「自分の土地だ」と主張できないので(上の例でいうBさんの立場になってしまう)、実際は土地を買ったらほぼ、登記は行われています。
せっかくお金を払ってほしい土地を買ったのですから、「自分のものだ」と登記する(国の記録に残す)のが自然ですよね。

 

 しかし、相続においてはそうとも限りません。
例えば経済的価値の少ない不動産は、わざわざ手間とお金をかけて所有権移転登記をすることなく、何代にもわたって移転登記されていないケースが珍しくありません。

相続登記義務化の経緯

 何代にもわたって相続登記がされないと、その不動産は「所有者不明土地」となってしまうことがあります。
登記上の所有者はもう50年も前に亡くなっていて、その子供も亡くなっていて、その子供も…となると、はたして今の所有者は誰なのか、簡単にはわからなかったり、わかったとしても連絡がとれなかったりしてしまうのです。
そして、今やなんと、所有者不明土地は日本全土の約20%、九州の面積に匹敵するという調査結果が発表されています。

 

 所有者不明の土地は、公共事業や災害復旧の工事、民間取引の大きな妨げとなっています。また、土地が管理されず放置され、環境や隣接する土地に悪影響を及ぼすといった問題も発生しています。

 この事態を改善する策として、相続登記が義務化されることとなったのです。

相続登記義務化の内容

【基本的なルール】

相続によって不動産取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。義務化は令和6年4月施行予定ですが、その日以前の相続にも適用されます。※施行後3年以内に、相続登記をすればOK

正当な理由なく3年以内に相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料の適用対象となります。

 毎年、4~6月ごろに固定資産税の通知が届くと思いますが、そこに記載されている不動産で、名義がすでに亡くなっている方のままになっているものはありませんか?
もしあれば、早めに相続登記をしましょう。
相続登記は、時間がたてばたつほど大変になります。
何が大変になるのか、また次回のブログでご紹介しますね。

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